『マリと子犬の物語』/忠誠と母性と

妹と一緒に2008年の映画初め。新潟県中越地震での実話をもとにした『マリと子犬の物語』を観に行った。

子ども・老人・動物がメインの作品とくれば、泣かないわけがないとは思っていたが、予想以上に感情を揺さぶられるシーンが多く、一年分ぐらいの涙を流してしまった。

本作は、地震という「どうしようもないこと」の中で、葛藤を覚えながらも現実を受け入れ、どう生きていくか、ということを、一つの家族を通して描いている。

船越英一郎演じる父親が言うように、「どうしようもないことというのは、大人になるにつれて増えてくる」わけであり、わたしの現状も程度の差こそあれどうしようもないことだらけなので、本作はそういった意味でも共感することが多分にあった。


ちなみに、タイトルのマリというのは母犬のことであって、飼い主の少女のことではない。
そして、この作品のうまいところは、(事実通りなのかもしれないが)、飼い主一家の母親が他界している設定であり、その母性の不在を埋めているのが、このマリの役割になっているということだ。

母親というものを知らない少女が、マリの無事を信じてつぶやくセリフには、わたしのいま信じたいすべてが詰まっていた。
「マリはお母さんだから。だから強いから、大丈夫」

そんな期待に応えるかのように、犬本来の忠誠心で倒壊した家屋の中の主人を救い、また、母の本能であるやさしさと強さで子犬たちを守って無人の村で生き抜いたマリの姿が、とても凛々しく、美しかった。


ラスト、マリが保護されてヘリから降り立った瞬間、山古志村の人々が拍手をして迎えたのは、単にペットとしてのマリが救出されてよかったね、ということではなく、彼らはマリの中に、自分たちの希望というものを見たからだと思えてならない。

本作のように、苦難の中でも、希望を失わない一年になりますように。
by chatelaine | 2008-01-13 23:50 | CINEMA

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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