「必ず二度読みたくなる」というふれこみの小説

つい3日ほど前、上司からのわたしの将来を揺るがす驚愕のひとことで、秋から怠けていたブログ魂に再び火がついた。

この火が、雑事に忙殺される日々の中で、いったいいつまで燃え続けることができるのかわからないけれど、またここで自分らしい世界をつくっていけたら、と思いつつ、2008年一本目のレビューを。


◆乾くるみ『イニシエーション・ラブ』文春文庫/読了

「必ず二度読みたくなる」となどという催眠術的な帯の文句には、普段は取り合わない私でも、「みうらじゅん好き」というニッチなところで意気投合してしまうような上司に薦められれば、半信半疑で読んでみるしかなく…。

結果、二度読みましたよ。
なんとも巧妙なことに、二度読まないことには答え合わせができない構成になっていて、さすがに昨年度の「本の雑誌/文庫編No.1」を勝ち取った作品。
最後の2行ですべての展開がくつがえるのが、(そしてその術中にはまっている自分が)こ憎たらしい。


しかし、どこかで味わったことのあるような読後感だと記憶をたどると、伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』が思い浮かんできた。
あれも、時間軸が交差している展開で、伏線の答え合わせが必要だった。

そういう意味では、わたしにとって本作は目新しいジャンルというわけではなかったけれど、読んでいた2時間、新幹線の東京・京都間が一瞬だと感じるくらいに、楽しめたかな。


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「レコードもテープも、A面を聞いているときには、B面も一緒に回っているのだ」(「イニシエーション・ラブ」解説より抜粋)

「僕はいかにも自分が主人公であるような気分で生きているけれど、よく考えてみれば、他人の人生の中では脇役に過ぎない」
(伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」より抜粋)

自分の見えているもの、聞いているものは、それがすべてであるように思えるけれど、ほんとうのところは、世界の一部分でしかない…。
by chatelaine | 2008-01-12 00:48 | BOOK

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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