伊坂幸太郎・映画化編

私的伊坂ブームが続き、映画化された二作品を読んでみた。どちらも強盗モノなのは、偶然か必然か。


◆伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』祥伝社文庫 読了

お正月に実家でコタツ読み。今年の小説はじめはこの本だったりする。

友人は映画を観て、イマイチの出来だったと言っていたけれど、私は映画は未見。佐藤浩市が出ていたのに、なぜ見逃してしまったのか。たぶんそのころはまだ、伊坂幸太郎を「SFを書く人」だと思い込んでいたから、興味を覚えなかったのかも。惜しいことをした。

いつものごとく、冒頭の会話は最高にキャッチー。

「『成瀬さん、警官の服を着た人は、警官に決まってるよ』隣の久遠が口を尖らせた。成瀬は肩をすくめる。
『サンタクロースの恰好をした男の大半は、サンタクロースじゃない』」

本作はこの調子で、ストーリーそのものよりも、登場人物たちの織り成す会話が魅力の大半を占める。意外と、芝居の脚本を書いてもいけるんじゃないかな、伊坂幸太郎は。

ただ、目次ページを開いた瞬間、紙質の悪さにびっくりした。裏の文字が透けていて読みづらいったら。こういうところに、出版社の気概というか、格みたいなところが出るのでは?新潮社みたいに必ず栞を付けてとは言わないけど…チープすぎてなんだか哀しい…。


◆伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』創元推理文庫 読了

通勤の電車で。伊坂の代表作といわれる『重力ピエロ』を越えた気がする。河崎だと思っていた人物が河崎でないとわかった瞬間から、久しぶりに、続きが早く読みたくて我慢できないという状況に陥った。
こういうときの通勤時間はやたら短く感じる。

「僕はいかにも自分が主人公であるような気分で生きているけれど、よく考えてみれば、他人の人生の中では脇役に過ぎない。そんなことに、今さらながらに気がついた」

この物語と、私たちが住む世界の核心を、ズバリと突く言葉。
私も含め、やはり普通の人というのはどうしても、自分を主人公にして、自分の都合のいいようにものを考えてしまいがちだから。これは戒めのセンテンスかも。


本作の映画版は、まず仙台で先行して上映されるらしい。都市におもねらない伊坂らしい、オツな企画だなぁと。
しかし、伊坂氏がどこかの誌面で「僕は小説でしかできないことをやる」と言っていたのを読んだのだが。
じゃあ映画化というのはいったい…うーん…。
by chatelaine | 2007-01-15 23:54 | BOOK

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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