伊坂幸太郎入門

12月に入院した際に、気まぐれで伊坂幸太郎の小説を手にとって、その軽妙な語り口にすっかりはまってしまった。そして病院の売店の伊坂を買い占め…退院するときに重かったこと。

知人からは、SFじみた設定のミステリ作家、というふれこみで聞いていたので、非現実的な設定の好きでない私は、ちょっと敬遠していたのだけれど…。

テンポのいい会話。交錯するストーリー。随所にちりばめられた伏線。いっぷう変わった登場人物。
文章が軽くすいすい読めて、飽きないし、ラスト近くで展開が加速するので、快読の極み。


3冊読んだところで、どうやら伊坂氏のお気に入りは、ボブ・ディランとエッシャーとゴダールのようである。ドストエフスキーや井伏鱒二の引用もされているし、伊坂氏は、自分のリスペクトしているものを、作中で多用するタイプの作家なのかも。

初めは、ちょっと知的ぶっているのでは…?とも思ったが、慣れてくるといいもので、とりわけ『ラッシュライフ』におけるエッシャーの登場は、抜群の効果を出している。

以下、病床での3冊。入門ということで、概要だけ。


◆伊坂幸太郎『重力ピエロ』新潮文庫 読了

第一印象…言葉あそびがうまい作家。そして、逆説的皮肉屋。ついでに憂国の士とお見受けしました。
「山椒魚は悲しんだ」ごっこのくだりは笑った笑った。しかし兄弟でこんな高尚な遊びをするかね。


◆伊坂幸太郎『ラッシュライフ』新潮文庫 読了

第二印象…暴走する若者や弱肉強食の世間など、意外と、「暴力」というものをテーマにしている?伊坂の目に、社会はそれほど暴力的に見えるのだろうか?

そして、交錯する時間軸と登場人物。階段を昇っているのか降りているのか。まさに騙し絵構成。映画で観たい!


◆伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』新潮文庫 読了

第三印象…そりゃあSFっぽいといわれるはずだ。世界観の設定がずば抜けている。
けれども、彼の描くとっぴょうしもない世界にも一定の論理があり、その理は破綻することなく、事件は起こり、解決する。そこに無理矢理感はない。

話を終わらせるための飛び道具を使わず、ミステリとしての筋を通す、というスタンスの作家なのかも。なめてかかってごめんなさい…。
by chatelaine | 2007-01-08 23:32 | BOOK

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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