『ALWAYS 三丁目の夕日』/涙腺崩壊

バイト先の店長(団塊世代)に、ぜひとも観たまえ、いいから観なさいと言われ、時間がないなら店を早退してもよい、とまで半ば強引に薦められたので、お言葉に甘えて早めに帰って、『ALWAYS 三丁目の夕日』を観にいった。

が、それにしても、私の涙腺はいったいどうしてしまったのでしょう!
もともと鼻風邪をひいていたことを差っぴいても、上映中に尋常じゃない鼻水&涙の量…。ノスタルジィを感じるといっても、実際この時代に生を受けていない私が、なぜこんなに昭和33年の風景や人物模様に共感しているのやら。自分でもわからないまま、滂沱の涙を流し、鼻をすすりながら、ラストシーンでは顔がほころんでいる私がいた。


ストーリーはベタというか、王道の人情モノ。昭和の街並み、昭和の家族、見ているこちらにも笑顔が伝染するような元気いっぱいの子供たちに、夢いっぱいの大人たち、そしてなかには戦争の悲しみをひきずる人もいる。
巧みな登場人物のバランスが、大人も子どもも楽しめることにつながっているのだろう。

そして、昭和を忠実に再現した撮影のセットももちろんだが、私はやはりキャストが最高にハマっていたから、ここまでの感動を得たのだと思う。

特に、須賀健太くん。あなた卑怯よ、そのいたいけな表情は!虐げられてうなだれている仕草が、なんとも彼の容貌にマッチしすぎで、母性本能が希薄だと自覚している私でも、無条件にいとおしくなってしまう。
たしか、テレビドラマでもこういういたいけな役どころで涙を誘っていたわよね…?


さらに、ふと気付けば今年は、『ローレライ』『姑獲鳥の夏』『フライ,ダディ,フライ』という具合に、堤真一の出演作をすべて観ている。思えば今回も、堤さんの出演が本作を観たいと思った一因だったし。堤さんが出ているなら大丈夫、というような安心感があるのか。…これはもう堤ファンと言っちゃってもいいのかしら?


【以下ネタバレ、笑いと涙のシーン】





堤さん演じる鈴木オート(この一種屋号で呼ぶ感覚が、なんだか妙に気に入ってしまった)と、吉岡さん演じる三文文士・茶川のケンカのシーンの笑えること!

「ぼかぁ、東大出なんだぞ!」
…こういうセリフが嫌味なく言える時代だったのか。まわりはみんな、「それがどうした」という表情だったもんね。

「戦争にも行ってないくせに!」
「ロシア文学も読んだことないくせに!」
…そりゃああなた、茶川さんよ、比較にならんよ(笑)


茶川さんも、当時の文学青年のうだつのあがらない感が出ていて。
駄菓子屋のくじ。茶川さん、憤りの「スカ、スカ、スカ…」
…はじめにここで笑ったなぁ。

で、極めつけは、淳之介くんとの原稿のくだりと万年筆のくだり。ここぞとばかり、オイオイ泣かせていただきました。
「本になるなんて、すごいです!」
「サンタクロースです!」
…淳之介くんが、律儀に敬語なのも泣かせるよね。思い出しただけで目頭が熱くなる。
茶川さんは芥川龍之介にはなれないけど、淳之介くんは将来、「吉行」淳之介になっちゃう可能性ありだね。才能的に(笑)


本当に、ワンシーンワンシーンが、泣くか笑うかだった。
観終わって、鈴木家の団欒に触発されたのか、ノスタルジックな気分で久々に実家に電話してみた。涙声だったせいか、なにやら見当違いの誤解を受けてしまったけど…。
by chatelaine | 2005-11-30 23:12 | CINEMA

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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