『火のようにさみしい姉がいて』レビュー

シアターコクーンで上演中の『火のようにさみしい姉がいて』を観にいってきた。
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清水邦夫作、蜷川幸雄演出。大竹しのぶと宮沢りえは、舞台では初共演ということで期待が高まる。

物語は、宮沢りえ演じる「妻」の想像妊娠の話からはじまるが、現実と妄想の境界線がはっきりしない混沌とした雰囲気は、序章としてぴったりだ。

数年ぶりに帰る故郷の村で起きる、記憶と異なる現実。記憶が異なるのではなく現実が違うのか?それともこれは現実ではなく虚構なのか?
観客も、段田安則演じる主人公と一緒に、不安な気持ちにおちてゆく。

ゆらぐ主人公を現実に引き戻そうとする妻。対して、虚構へ誘おうとする姉の役は大竹しのぶである。理髪店の店主としてひたすら剃刀を研いでいる行為も、その「シュッ」という耳に障る効果音とともに、蜷川演出っぽい。

一幕はあまり目立たなかった大竹しのぶが、二幕になるとまわりを超越する存在感を出してきて、ああ、一幕はそうとう抑えていたんだなあと感じた。
このひとは、コミカルにもシリアスにもドラマチックにも演じられるが、今回はぼうっと呆けたような表情がうまいと感嘆。そこに居るのに、実在するのかどうかわからなくなるような、虚構の世界の亡霊のような表情。

ラストに近づくにつれて、以前、同じ蜷川演出で観た『日の浦姫物語』と雰囲気が似ている気がしたら、やっぱり近親相姦ネタだったというわけか。まあ、本作はそれすらも現実なのかどうか、明確な答えは示されていないわけだけど。
観客に判断を委ねるタイプの作品なのでカタルシスも何もない、ただ、奇妙な夢で目が覚めたときのような幻惑の舞台だった。
by chatelaine | 2014-09-09 23:08 | STAGE

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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