『スノーピアサー』レビュー/仕組まれた革命

ポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』を観に行ってきた。
もともとこの監督の『殺人の追憶』という作品が好きで観に行ったのだけど、格差社会と言う意味では『TIME』を、虐げられた者の革命という意味では『レ・ミゼラブル』を、それぞれに思い出す作品だった。
d0059811_12572114.jpg

氷河期で外界には出られないにしても、なぜ列車を走らせる必要が?
とか、
偉大なるエンジンって動力源はなに?
とか、
線路のメンテナンスなしに十何年も走行は無理でしょ。
とか、
いろいろと現実的な突っ込みはありつつも、閉鎖的な空間を舞台に行われる革命という設定が結構好き。


【以下、ネタバレあり】































個人的に、仕事でくたくたな時期に観に行ったこともあって、随所に目を背けたくなるシーンも。
腕を凍らせる拷問シーンや、黒い布をかぶって斧を持った男たちとの暗闇での死闘、さらにはカニバリズムなど、生理的な嫌悪感を感じるホラーテイストな部分は、まるで、今読み進めている貴志祐介の小説のようだった。

一方で、主人公・カーティスの壮絶な過去が泣かせる。自らをリーダーの器ではないと言い張るのは、アメリカ人らしくない謙虚さだなあと思っていたが、過去の自分を許せないでいるからなのね。
d0059811_1258964.jpg

そして、あのエキセントリックな総理がティルダ・スウィントンだとは全く気づかなかった。総理と教師のぶっ飛び具合がなんともファンタジック。あと、スナイパーの偏執的なところも。
「みんなどこか狂ってる。そうでないとやっていけないのだ。」というウィルフォードの言葉に同意せざるをえない。

「生態系を維持するにはバランスである。」
「人には決められた持ち場と役割がある。」
ギリアムの「ウィルフォードの舌に気をつけろ」というアドバイスは、かつて自分も彼の言葉にのせられて、最後尾のリーダーとなった経緯があるからではないか?
d0059811_1259228.jpg

カーティスが多くの犠牲を払って到達した「エンジン」だったが、まるで用意されたゲームのエンディングのように、管理者にとっては革命すら計算どおりだったむなしさ…。このなんとも言えない後味の悪さは、ポン・ジュノ監督ならではのもの。

しかし、きたるべき氷河期の終わりが、このゲームの大前提を覆す。
「ノアの箱舟」だった列車は雪崩によって倒壊し、外界に生きる白熊の姿と、列車で生まれた子どもたちが初めて踏みしめる一歩に、一筋の希望が見えるのであった。
by chatelaine | 2014-02-23 23:50 | CINEMA

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
通知を受け取る