キャラメルボックス『ヒトミ』レビュー

EXシアター六本木で上演された、キャラメルボックス2014バレンタインスペシャル『ヒトミ』を観に行ってきた。
EXシアターは昨年できたばかりの劇場ということで、ネオンに彩られた華やかな外観が六本木らしい。
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本作は今回で10年ぶり三度目の上演となる作品で、キャラメルボックスの中でも「古典」と言われるほどだそう。役者が代替わりしていくのか、過去に主役のヒトミを演じた役者さんが、今回はヒトミの母親役をやっているのも面白い。
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キャラメルボックスといえば、現実と虚構を行き来する作品が多いように思うけど、本作は厳しいまでに現実を描いている。

交通事故で寝たきりになったピアノ教師のヒトミ(実川貴美子)が、最新の医療器具のモニターとして過酷なリハビリに耐え、失われた生活を取り戻そうとするも、その器具を付けていては身体に悪影響が生じることが判明。しかし、器具を外せばまた寝たきりの状態になってしまう…という葛藤の中で紡ぎ出されるストーリー。

迷惑をかけたくない一心で恋人にも冷たく当たってしまうが、そんなヒトミのことを思いやる家族や恋人や友人の想いに、観ている方の胸が痛む。
それにしても、ヒトミを演じた実川さんは、ぎこちない身体の動きが本当に大変そう。


過酷な選択を余儀なくされたヒトミが、つかの間の逃げ場として選んだ故郷のさびれたホテル。このホテルの個性的な従業員たちが、重いテーマに底抜けのコミカルさを加えてくれ、全体のバランスが取れている。

もう一度ピアノが弾きたかった。だけど弾けなかったらどうしよう、という恐れ。
子どもの頃のピアノなら、弾けない自分でも優しく受け止めてくれるのではないか、という期待。
けれども、ピアノだけでなく、本当に抱きとめてくれる人間がいるのだから、ヒトミは幸せものだ。ラストは、まさにバレンタイン公演にふさわしい抱擁で締めくくられる。


おまけに。
上演終了後、ゲストに川原和久さんを招いてのアフタートークがあった。ドラマ「相棒」でおなじみの川原さんは、なんと10年前に本作で医師役を客演していたらしい。テレビドラマと舞台の制作方法の違いなど、興味深い話も聞けたのだけど、TVで見る姿より、背が高くて声も渋くて落ち着いた物腰がとても印象的だった。
いつか川原さんの舞台も観てみたいな。
by chatelaine | 2014-02-13 23:51 | STAGE

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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