『モローとルオー ~聖なるものの継承と変容~』レビュー/麗しき師弟共演

パナソニック汐留ミュージアムで開催中の『モローとルオー ~聖なるものの継承と変容~』に行ってきた。
この美術館にはジョルジュ・ルオーの作品がたくさんあると聞きつけ、いずれ行ってみようと思っていたところ、今回、大好きなギュスターヴ・モローとの企画展が開催ということで、汐留ミュージアム初訪問。
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そもそもわたしはこれまでルオーの作品をほとんど観たことがなく、ルオーがモローの愛弟子で、モロー美術館の初代館長だったということも、今回はじめて知ったほど。
それでも、お互いを思いやる愛情あふれた往復書簡を読めば、ふたりがどんな関係だったのかが想像できたし、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)時代からのルオーの作品の変遷が観られたのも興味深かった。

ルオーは、独自の黒い縁取りとステンドグラスのような色彩が特徴的、と言われながらも、学生時代の絵はかなり暗い色調だったようだ。それが、画一的な指導方法を嫌ったモローの教えあってか、学校を退学したあとの作品からは、だんだんと宝石のような色彩を帯びはじめる。後期の作品などは、絵の具がかなり厚く塗り重ねられており、その筆致を間近で見ると、色を表現するためのルオーのこだわりと工夫が感じられた。

今回のルオーの作品では、円形のフロアに展示されていた「三本の十字架」シリーズが気に入った。シンプルでアイコニックでどこか寂しげな十字架。
「聖なるもの」がここまでシンプルに描かれていることに、装飾過多なモローとは全然違うと感じ、ルオーはモローから何を継承し、どう変容したというのだろうと、本展覧会のテーマが頭をよぎった。


そして、久しぶりに観るギュスターヴ・モローは、やはりとても美しかった。日本で観るのは2005年にBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ギュスターヴ・モロー展」以来である。

直近で「ターナー展」を観たせいか、「油彩下絵」の色彩をターナーと比べてしまったのだけど、同じ「色彩の多様性を追求」と言っても、モローとターナーの色とはまったく違う。ターナーは風景を描いたのに対し、モローは精神世界を追いかけたせいか、暗く、けれどもどこか尊い気配のする色づかいだ。

装飾過多で、モティーフも神話や聖書が多く、陰惨なシーンも少なくないのに、どうしてこんなにモローに惹かれるのだろうかと自分でも疑問だったのだが、それはきっと、人間の内面に肉薄し、世間の流行に反してでも好きなものを描くという姿勢のためではなかったか。

今回は、「パルクと死の天使」という作品の暗緑色の馬がとても気に入って、ハガキを買ってしまった。モローの画集やハガキは家に山ほどあるというのに…。

来年にはパリのギュスターヴ・モロー美術館が改装を経て、リニューアルオープンするらしい。あの美しい螺旋階段は残っているだろうかと心配になりながら、これはまたパリに行く楽しみが増えるなあと、心が躍った。
by chatelaine | 2013-11-24 23:31 | ART

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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