国立西洋美術館、3つの常設展をハシゴする

『ミケランジェロ展 ―天才の軌跡』を観終えたあと、時間があったので、同時開催されている常設展の方にも足を伸ばしてみた。企画展のチケットだけで、常設の3つの展覧会にも入場できるという、なんともお得な期間だったのだけど、ミケランジェロと併せて観るとかなりのボリュームだったので、最後の方は集中力が足りず…。


『ル・コルビュジエと20世紀美術』
コルビュジエといえば建築家だと思っていたため、こんなにたくさんの絵も描いていたとは知らなかった。思いのほか平面的でピカソのキュビズムを想起させる抽象画に、彫刻作品や映像作品やタピスリーなどもあったりして、まさに総合芸術家という感じ。正直、絵画は作品数が多すぎて、流し見するのが精一杯だったのだけど…。

そもそも、西洋美術館はコルビュジエの設計なので、ここで彼の作品が展示されているという、入れ子的構造もまた面白い。

途中、コルビュジエが晩年に設計したロンシャンの礼拝堂の模型があり、その個性的で曲線的な構造を見るにつけ、いつか行ってみたい場所だと思った。


ソフィア王妃芸術センター所蔵『内と外 ―スペイン・アンフォルメル絵画の二つの「顔」』
西洋美術館の新館には今回はじめて足を踏み入れた。アンフォルメル芸術というのもまた初耳。「非定型の芸術」という意味らしいが、ピカソやコルビュジエをさらに抽象化したような、説明なしではよくわからない現代美術のような印象を受けた。

なかでも、黒と白が鮮烈なアントニオ・サウラという画家の作品がインパクトあった。ムンクの「叫び」がちりばめられているような「大群衆」という作品などは、その大きさにも圧倒される一方で、とても内省的な作品だと感じた。


『イタリア版画展 ―新収作品を中心に』
普段、美術展というと、派手な企画展ばかりに目がいってしまうけれど、国立の美術館のミッションとして、作品の収集を行うということを意識させてくれる展示。地道な収集活動あっての美術館だものね。

西洋美術館はイタリアの版画の収集に力を入れているらしく、これまたニッチな分野だなあと思いつつも、人間の肉体の描写や宗教色の強い作品など、16世紀のイタリアの世界観がそこここに表れていて、とても味わい深い展示だった。

それにしてもこの日は、ミケランジェロ展、コルビュジエ展、アンフォルメル芸術と、どんどん抽象化していったのに、最後は再びミケランジェロの世界へ戻ってきたような気がした。まるで、遠い旅路を経たみたいに。
by chatelaine | 2013-10-21 23:48 | ART

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