『ミケランジェロ展 -天才の軌跡』レビュー

国立西洋美術館で開催中の、システィーナ礼拝堂500年祭記念『ミケランジェロ展 -天才の軌跡』に行ってきた。
これで、年初に「2013年気になる美術展」で挙げた5つの美術展はコンプリート!
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「神のごとき」と称されるミケランジェロは、わたしの大好きな芸術家のひとりで、彼の作品を観るといつも、かつて溺れたイタリアの記憶が自然と呼び覚まされる。

実際に観た作品は、システィーナ礼拝堂の壮大な天井画、筋骨隆々としたダヴィデ像、サン・ピエトロ寺院の憂えるピエタ像と、代表作だけでもたくさんあるが、わたしが一番好きなのはロンダニーニのピエタ。未完成ということで、かえって、いままさに魂が宿らんとでもいうような、ミケランジェロの命と魂を感じずにはいられない作品だ。


今回は、フィレンツェのカーサ・ブオナローティの所蔵品が主ということだけど、フィレンツェには1週間ほど滞在し、そこそこマニアックな場所も訪れたと思うが、ここには行った記憶がない。リサーチ不足か、まだまだ知らない場所があるものだなあ。

こちらに収蔵されているミケランジェロの下絵やデッサンからは、「天地創造」や「最後の審判」にみるような、躍動感たっぷりに身体をひねったポーズの練習が見られ、ミケランジェロの絵の作り込み方がわかる。


また、上映されていたシスティーナ礼拝堂の4K映像がとても美しかった。本物よりも鮮烈ではないかと思うような色彩美。絵画のアップの映像は、おそらく現地で観るよりもよく見えるのではないだろうか。ただ、あの礼拝堂に実際に立ったときのように、胸に迫るなにか、はないけれども。

この天井画は、1時間鑑賞しただけでも首が痛くなるのに、ミケランジェロは何年間も天井に向かって描き続けたのだから、その忍耐たるや想像できない。
モーツァルトやラディゲなど、破滅的な夭折の天才にも惹かれるけれど、ミケランジェロやレオナルドの美に対する執念もまた、恐ろしいほど魅力的だと感じる。

それにしても、システィーナ礼拝堂を訪れたのがもう10年以上前になるとは…。
天井画の「天地創造」では、「人間の肉体は神が作った最高傑作」ということを表していること、また、ミケランジェロ自身が描かれていることも、説明されるまで忘れていた。学生時代に一度勉強したはずなのに、いろいろと忘れていてショック。


さて、本展覧会の白眉は、ミケランジェロが15歳のときに制作したと思われる彫刻「階段の聖母」と、最晩年に制作された木彫りの「キリストの磔刑」像。

前者は、なにをどう育てれば15歳でこんな作品が作れるようになるの?という感じ。天才の幼少期がどんなふうだったのか興味深い。そして、ミケランジェロは早熟の天才で終わらず、89歳までさまざまな分野での作品を作り続けたという意味で、輪をかけてすごい。

後者は、ロンダニーニのピエタのように、彫って作るというより、あるべきものが浮き出している感じ。うまく言えないけど、神がかっている。
両作品を見比べることのできる本展は、まさに天才の軌跡であり、作品を前に甘美なため息しか出なかった。
by chatelaine | 2013-10-20 23:21 | ART

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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