『三菱一号館美術館 名品選2013 -近代への眼差し 印象派と世紀末美術』レビュー

三菱一号館美術館で開催中の『三菱一号館美術館 名品選2013 -近代への眼差し 印象派と世紀末美術』の特別鑑賞会に行ってきた。
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館長の高橋先生と、アートブログ「青い日記帳」主宰のtakさんとの軽妙なトークからはじまり、その後、担当の学芸員さんのギャラリートークへ。
それにしても、美術品は寡黙なのに対し、学芸員さんは熱くお話される方が本当に多い。作品が好きで好きで、知ってほしいという気持ちが強いんだろうなあ。わたし自身、専門知識はないけれども、良いものを広く知ってほしいという気持ちはよくわかるから、勝手に親しみをおぼえた。
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本展覧会では、三菱一号館美術館が所蔵している作品から、初公開のものが104点も出ているのだとか。ポスターの印象から、やっぱりメインはモネやルノワールといった王道の印象派画家なのかと思いきや、私的にはヴァロットンとモーリス・ドニが今回の収穫であった。

ヴァロットンという画家のことはこれまでまったく知らなかったけれど、本展では、シンプルな線で描かれた、よく観ないと見過ごしてしまいそうな、皮肉をこめた版画がたくさん展示されていた。これがなかなかエスプリがきいて愉しくて、来年は『ヴァロットン展』が単体で展覧会になるらしいので、要チェックかも。

◆「動揺」というタイトルがニヤリとさせる作品。
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◆タイトルどおり、「可愛い天使たち」なのか、はたまた悪魔たちなのか。
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また、モーリス・ドニは、名前だけはかろうじて聞いたことがあるという程度だったけれど、「アムール(愛)」という版画の連作をひと目見て、その優しくはかなげな色使いに惚れた。
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そのほかに魅了されたのは、ルドンの「夢の中で」という作品群。
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ルドン単独の展覧会に行ったことがなく、ここまで揃っているのを観るのははじめてだったのだけど、タイトルが独特というか、哲学的というか、とてもわたしの好きなタイプ。例えば、「陰気な風景の中の狂人」とか、「めざめた時、私は厳しく無情な横顔の叡智の女神を見た」とか、タイトルの意味を想像するだけで妄想が膨らむ。同年齢のモネが外の光を描いたのに対し、ロダンの、この内向的な雰囲気といったら正反対。
そして、ルドンは「眼=気球」という作品の印象が強いせいか、なぜかいつもバタイユの「眼球譚」を想起してしまう。なんら関係ないはずなのだけど…。

また、ロートレックのポスターの展示室は、たっぷりとした空間が使われていて開放感があった。
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ロートレックのポスターを見ると、一気にベル・エポックのパリの気分になるから好き。きっと、当時のパリの空気をすごく体現しているんだと思う。
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という具合に、絵画や版画を中心にして、ほんの少しだけども確実に、ヨーロッパ気分を味わえる秋の展覧会だった。
by chatelaine | 2013-10-03 23:13 | ART

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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