韓国ミュージカル『三銃士』レビュー

Bunkamuraオーチャードホールで上演中の韓国ミュージカル、『三銃士』を観に行ってきた。わたしが観た回のキャストは以下のとおり。
■ダルタニヤン役:ソン・スンヒョン
■アトス役:イ・ゴンミョン
■アラミス役:ソン・ジュノ
■ポルトス役:チョ・スンチャン
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子どものころから親しんだデュマの「三銃士」「鉄仮面」とあって、ストーリーはおおまかに覚えているものの、舞台向けにかなり脚色されている模様。

とはいえ主軸は、田舎からパリに出たダルタニヤンが、三銃士と出会って銃士隊に入隊するまでの冒険活劇を描いた作品。本作ではさらに、ディカプリオの「仮面の男」でも有名な、鉄仮面のエピソードが盛り込まれていた。


韓国ミュージカルは、過去に『ウェルテルの恋』を観たことがあるだけで、あまり詳しくないのだけど、総じて出演者の歌のレベルが高いと感じた。

アラミスはオペラ歌手だった過去がある設定になっており、劇中劇では、伸びやかな声で、悲恋のアリアを歌い上げる。まあ、この劇中劇は本筋からかなり脱線しているので、ファンサービスタイムかなとは思いつつ。

ポルトスは(なぜか)海賊上がりの銃士という設定になっており、ジャック・スパロウのような海賊コスチューム。ピンポイントにわたしの好みを突かれ、このキャラのせいで、ほとんどポルトスを見ていたような…。
ラム酒さえあればそれでよし、なんていう海賊ソングを歌いだすので、もう完全にカリブ海の海賊。しかし、粗野にふるまっているようでいて、仲間想いで涙もろい一面もあり、その低いバリトンの歌声には痺れる。

そして、一幕ではあまり出番がなく、影が薄かったアトスだが、二幕では開始早々から、女傑・ミレディと差し向かうシーンで、圧巻の歌と演技を披露してくれる。このふたりの因縁は、悪いけれども前述のアラミスの恋バナを凌駕しており、ふたりの激情が感じられる。
また、このシーンはカーテンの演出もすごく洒落ていて、ミレディが百合の烙印を押され、堕ちてゆくシーンなどは影絵で表現されていた。好きだわ、この演出。

肝心のダルタニヤンは、線の細い声だったけれど、若さや朴訥さや勢いを十分感じた。ダルタニヤン役に韓流アイドルグループ勢がキャスティングされている理由もなんとなくわかる。
あとは、ファンサービスに徹する役というか…。劇中でも何度か客いじりしていたし、やはり韓国ミュージカルを日本で興行的に成功させるには、アイドルの投入とファンサービスが必至なのかと実感した次第。


で、この4人が入り乱れて闘うシーンは、殺陣(フェンシング)がとても美しかった。
一幕と二幕で1回ずつ乱闘シーンがあるのだけど、敵役のジュサックも黒い衣装が見目麗しいし、どちらも見ごたえありすぎて、これぞ活劇!と、大変興奮。
カンカンカンと剣の鳴る音がホール中に響いていたけど、実際こんなに響くものなのかな。それとも録音だったら逆に合わせているのがすごすぎるんですけど…。

あと、ミレディ&コンスタンスの女性陣も歌が上手くて、韓国語がまったく気にならなかった。思った以上に感情移入してしまって自分でもびっくり。
とりわけ、何度も出てくる「俺たちは、ひとつだ」と剣を合わせるシーンは、昔、本を読んだときも同じシーンで鳥肌が立ったなあと、懐かしい気持ちすら抱いた。

一箇所、鉄仮面に関して、リュシュリューが王の双子の弟という設定には無理があるだろうと思ったけど、それ以外は満足の作品だった。
チケットが16000円という高額でなければ、リピートしたかもしれないなあ。あと、オーチャードホールならば、やっぱり生オケ希望だけど。
by chatelaine | 2013-08-19 23:41 | STAGE

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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