新演出版『レ・ミゼラブル』レビュー

ようやく満を持して、帝国劇場で上演中の新演出版『レ・ミゼラブル』を観に行ってきた。今回は、学生時代からのレミゼ友だちと行ったので、そうれはもう開演前からテンションが上がってしまい…。
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なんといっても、新しい演出で劇場の舞台装置がどう変わったのかが気になるところ。これまでレミゼの代名詞だった回転式の床もなくなり、新演出では、背景に映像を使っての立体的な場面転換が目立った。下水道を歩くシーンや、ジャベールが橋から落ちるシーンは、とても好きな場面なのだけど、ここもガラッと背景が映像に変わっていた。

今回は2列目の席が取れたので、役者陣の表情までつぶさに見えた一方で、逆に、映像を駆使した舞台美術は、もう少し後方から見た方が、全体が見渡せて奥行きがあるだろうなと感じた。
それにしても、ロイヤル・アルバート・ホールでの「オペラ座の怪人20周年記念公演」といい、最近は舞台での映像使用が増えたこと。映像だととてもスムーズだけど、大掛かりなセットがなくなるのは、ちょっと寂しい気もする。


さて、今回のキャストは、バルジャンが吉原光夫、ジャベールは川口竜也。
吉原さんの、自分の人生を呪うギラギラしたバルジャンも魅力だし、老いて愛に満たされたバルジャンもよいなあ。バルジャンは、前半と後半では、まったく別人みたいになるので、いつも見比べ甲斐がある。

一方の川口さんは、とても滑舌よく、セリフは聞き取りやすいのだけど、「お行儀よいジャベール」という印象を受けた。前回観たときは鹿賀丈史のジャベールで、セリフはまったく聞き取れなかったものの、追う者らしい圧力と存在感は抜群だったことと比べると、どちらが良い悪いではなく、これが役者による違いかと思わせられた。
ストーリーをきちんと追いたいなら川口ジャベール、何度もストーリーを見て知っているなら鹿賀ジャベール、というふうに。(もう、鹿賀さんは演らないかもしれないけど)

また、バルジャンは司祭様やコゼットと出会う中で、人生への呪いを自分で解いた。他方のジャベールは、自分にかけた「正義であるべし」という呪いに縛られたまま、脱皮できない。ところが、いつのまにかバルジャンは慈愛というものを会得していた。これが、ジャベールの絶望であり、自殺の原因なのだろう。それを歌い上げる「stars」からの自死のシーンは、涙ものだった。

テナルディエ夫妻も相変わらずいい味を出していた。森公美子のオーバーアクト気味のドヤ顔といい、テナルディエの、姑息な奴なんだけど憎めないところ、好きだわ。たぶん、こういう小悪党みたいなの、当時のパリにはたくさんいただろうなあと想像できる。

あと、バリケードの中では、いつもはアンジョルラスやマリウスに目が行ってしまうのだけど、今回は飲んだくれのグランテールがどうにも気になった。ガブローシュのことをすごくかわいがっていて、気にかけていて、飲んだくれているけれど、まなざしはとても優しいよね。だから、ガブローシュが死んだときの悲壮な表情も、痛々しいほどの絶望も、心に刺さってくる。


というわけで、また新たなウォッチポイントを見つけてしまった。
本当に何度観ても楽しめるミュージカルで、人生の糧と呼べる作品に出会えたのは、幸せなことだわと、友人と大いに語り合ったのだった。

映画版のDVDもコレクターズBOXを予約したし、届くのが楽しみ。息子も巻き込んで、次回の帝劇(2年後ぐらいか?)で、一緒に劇場デビュウできたらいいなあ…と妄想は続く。

レ・ミゼラブル 〈ブルーレイ・コレクターズBOX(5枚組) [Blu-ray]

ジェネオン・ユニバーサル


by chatelaine | 2013-05-29 23:52 | STAGE

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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