『進撃の巨人』1~10巻考

アニメ化に伴い、話題沸騰中の『進撃の巨人』、原作を1~10巻まで一気読みした。こんなに先が気になるストーリーは、『DEATH NOTE』以来だろうか。謎が多く、とことん残酷無慈悲な世界観と、意外性のありすぎる展開、キャラクターの立った登場人物たち。

進撃の巨人(10) (講談社コミックス)

諫山 創 / 講談社

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かなり私好みの作品なので、一気読みできる幸せを存分に味わいながら既刊本を読破。気づいたら明け方になっていて、翌日はもう頭の中が進撃一色。ここまで世界観にのめり込め、実生活でも引きずる作品に出会えるのは久しぶりなので、とてもうれしい。


【以下、ネタばれありなので要注意】














本作で、気になるメッセージとしては、
①「世界は残酷だがここで生きなくてはならない」
②「人類の犠牲と貢献」
③「仲間との信頼」というところだろうか。

①については、再三、作中で触れられているとおりで、ミカサが人攫いに襲われたときもそうだったが、この感情が巨人に対する「戦え」という強烈な原動力となっている。

②については、壁の外ではこれだけ調査兵団が犠牲になっているけれど、内地ではそんな世界とは無関係のように時が流れていること。そのギャップに違和感を感じるし、所属兵団の決定といい、やはり為政者に都合のいいように制度化されているように思う。

③については、女型の巨人vsリヴァイ班の戦闘シーンと、ライナーが巨人になる際に葛藤しているシーンで、対比が読み取れる。リヴァイ班は女型の巨人に敗れた(信頼の敗北)が、一方で、ライナーの逡巡は、104期訓練兵たちの間で予期せぬ信頼が生まれ、それを裏切ることへの葛藤にほかならない。(信頼の勝利?)
いずれにしても、人間が人間のままで巨人と戦うには、巨人化することを除き、組織を信頼して戦うしかないのだから、深いなあと。


そして、10巻で超大型巨人と鎧の巨人の正体が判明したところで、一番の謎は、この世界の全体像。
これらの知性のある巨人たち(戦士?)は、何らかの方法(エレン父親の注射?)で人間が創りだしたと思われるので、人間側の方も一枚岩ではなく、「体制vs反体制」という動きがあるのでしょうな。

ライナー、ベルトルト、アニが同郷ということなので、この故郷が反体制側の根城かなにかで、エレンの父親とも関わりがありそう。ここに、ユミルやクリスタがどう絡むのか。
あと、獣の巨人は立体起動装置を知らなかったので、最近覚醒したようだけれど、言葉も上手だし、知恵者だし、裏事情を知っている古参のボスっぽいよね。

しかし、どうしても不可解なのが、ライナー&ベルトルトが巨人になってウォール・マリアを壊したのち、故郷にて巨人(ユミル?)に襲われる、というのは、時系列的に つじつまが合わないような。しかも、このときまだ2人は10歳ぐらいだし…うーむ。

とにもかくにも、エレンの生家の地下室がキーとなるのだろう。巨人化したルーツを探すのに生家に戻るとは、主人公の成長を振り返る意味で王道パターンとはいえ、これだけの犠牲を払う価値があるのかと泣けてくる。

とまあ、いろいろと勝手な考察をめぐらすも、さくっと覆されそうで、それもまた楽しみだったりしている。
by chatelaine | 2013-05-15 23:58 | BOOK

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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