「三鷹天命反転住宅」たてもの見学会/大人と子どもの反応の差

連休中、夫と息子で、三鷹市にある、「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」のたてもの見学会に行ってきた。
ものすごくカラフルで奇抜な外観のこの建物は、荒川修作とマドリン・ギンズという芸術家によって作られた集合住宅で、実際に人が住んでいたり、ウィークリーマンション的に貸し出していたりもするらしい。
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たてもの見学会では、空いている部屋を見せてもらって、建築家の意図や、建物の構造の説明を受けるというもの。
この部屋に入った瞬間の驚きや、身体の感覚を大事にした方が楽しめると思うので、予備知識なく行くのがよいかもしれない。なので、今後、行く予定のある人は、ここから先は読まない方がいいかも…。



部屋に入るとまず驚くのが、うねった床。うわっ、なにこれ、と、足と目がまず反応する。そして、そのうちに、土踏まずにフィットするでこぼこの感覚にやみつきになる。ちゃんと影ができるサイズのうねりになっており、「でこぼこ」だと視覚で認識できるように作られているらしい。

また、床には全体的に傾斜があり、部屋の一番高い部分と低い部分では、30センチ以上の差がある。そして、天井も床と反対の向きに傾斜している。言われてみないと意外と気付かないもので、普段、いかに「まっすぐの」部屋で暮らしていることに無自覚かが、自覚できる。

全部で17色使われているという、カラフルな色調にも計算があって、どの場所にいても、常に視界に6~7色以上が目に入るように設計されているらしい。面白いもので、ここまでくると、「何色の家」というカテゴライズがされないのだという。色がありすぎるゆえに特徴にならない、というのは、なんとも逆説的。

他にも、収納のために身体を伸ばしたり、ハシゴに上る必要があったりと、身体全体を使わないと生活できないような空間になっていて、いつもは使わない身体の部位を使う。バリアフリーとは対極にある部屋だが、むしろ、身体感覚を研ぎ澄まされるので、リハビリなどの訓練として、ここで生活するのは価値があるかもしれない。
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ひととおりの説明のあと、天気が良かったこともあり、屋上に上らせてもらえた。が、屋上には柵がないので、子どもは禁止。ぼくもいきたい~!と叫ぶ息子を置いて、夫と代わりばんこで上ってみた。三鷹市は、規定値以上の高さの建物は立てられないらしく、屋上からの見晴らしがとてもよい。
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今回、幼児での参加はうちの息子だけだったのだけど、子どもの反応は素直で、慣れるスピードが速いなあとつくづく感じた。でこぼこの床も、最初は支えなければ上れなかったハシゴも、球体の部屋も、ぐらつくハンモックも、最後は自分の身体のものにしていた。その適応力たるや。人間って、慣れる生物だなとつくづく。

そして、説明の中で印象的だったのは、大人は「なんだこれ?」「こんなの知らない!」と思ったものに対して、すぐに文字情報に頼るけれど、子どもは全身でぶつかっていき、自分のものとしていく、ということ。

それを聞いて思い出したのは、美術館で作品を観るときの、音声ガイドやキャプションのこと。
これって、作品の歴史的経緯や作者の意図をふまえて、「正しく」鑑賞するにはとても役に立つのだけど、作品より先に、解説を追ってしまう弊害ってあるよなあと、常々思っていて。

作品を観て、なにかしらの感情がわきおこる前に、文字情報をインプットしてしまう大人と。
文字がわからず(そもそも文字なんて眼中になく)、作品だけ観て、「なにこれ変なの~」という感想をもらす子どもと。
こんなに捉え方がちがう大人と子どもだからこそ、一緒に体験すると、お互いに気づきがたくさんあるのだろう。

わたしなどは、すぐに情報に頼ってしまうきらいがあるので、子どもと一緒だとバランスが取れるのかもしれない。これからも、幼児期にいろんな体験をさせて、親子とも、身体で感じることを大事にしたい。
今度は宿泊コースにも参加してみたいし、なにより、同じ建築家がつくった、岐阜県にある「養老天命反転地」という公園に俄然行きたくなった。
by chatelaine | 2013-04-29 23:55 | ART

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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