舞台『ピアフ』レビュー/憑依型演技の真髄みたり

シアタークリエで上演中の舞台『ピアフ』を観に行ってきた。
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フランスの国民的シャンソン歌手、エディット・ピアフの半生を描いた作品で、演じるのは再演となる大竹しのぶ。
昨年よりずっと楽しみにしていた舞台で、やはり期待通り、大竹しのぶの独壇場とはこのことかと思うほど。もともと憑依型の役者さんだとは思うけれど、なりきっていたというか、乗り移っていたというか、こういう実在の人物を描いた評伝ともなると、とたんに彼女の持ち味が倍増する気がする。

ピアフの曲を16曲も織り交ぜながら話が進むということで、大竹しのぶは歌も歌えるのだろうか?と少し心配していたのだけど、「アコーディオン弾き」「ばら色の人生」「愛の賛歌」ときて、ラストの「水に流して」を涙ながらに歌いあげるシーンなどもう、歌の上手い下手を超越している感じだった。席が3列目だったせいもあり、汗や涙、額の青筋までよく見え、表情のひとつひとつがピアフそのものであるような錯覚すら感じるくらい。こんなたとえは変だけど、「ガラスの仮面」の北島マヤを髣髴させる。


劇中では、昨年観たミュージカル『ディートリッヒ』と対になるような形で、ピアフの友人役でマレーネ・ディートリッヒが登場。これを演じているのがまたまた元宝塚の女優さんで、さもありなん。絶望のふちにいるときに励ましあう、同時代のふたりのスターの親交がうかがい知れる。

そして、ピアフが見出した歌手、イブ・モンタン役の藤岡正明という役者さんの歌の上手さにはこれまたびっくり。プログラムによると、ミュージカル俳優ということで納得。

あとは、ベルヴィル時代からの親友・トワーヌといるときのピアフがとてもよかった。憎まれ口たたいて、心を許していて、自然体のピアフ。
最期までオトコが途切れないのもさすがです。(最期の恋人・テオは、崇拝者という感じだったけど)常に恋人がいないとダメで、それでもぬぐいきれない孤独がピアフの根幹にはあって、その気持ちを愛に昇華して歌うんだろうなあ。


奇しくも同日にこの世を去った詩人であり、芸術家のジャン・コクトーは、ピアフのことを「路上の魂」と呼んだとか。
卑猥な言葉、直情的な愛情表現、孤独、薬物中毒と、決して綺麗な場所で生きた人ではないのに、愛を歌わせると一級。
またの再演を期待する作品だった。
by chatelaine | 2013-02-01 23:13 | STAGE

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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