キャラメルボックス『トリツカレ男』レビュー

キャラメルボックスの『トリツカレ男』という舞台を観に、赤坂Actシアターへ行ってきた。
いつもキャラメルは池袋のサンシャイン劇場なので、赤坂とはちょっと新鮮。

本作は、興味を持ったものにすぐにトリツカレてしまう男・ジュゼッペの、恋の物語。
「恋は盲目」というけれど、ジュゼッペにかかれば恋以外でも、たとえばオペラや三段跳び、昆虫採集、探偵、外国語など、興味をもったものにはなんでもトリツカレてしまい、のめりこんでしまう。
まるでリミッターが外れたような好きになり方で、慎重派のわたしにとっては、ある意味うらやましくもあるのだけれど。

そんな「トリツカレ男」の異名をとるジュゼッペが恋した相手は、ロシアからきた少女・ペチカ。ペチカの抱える悩みを解消するために、陰でこっそりと力を尽くすのだが、その尽くし方がなんともまあ不憫というか、じれったいというか、イライラするというか…。
なぜ夜中にこっそり仕事をする小人のように、善行を内緒にするの!もっとペチカに積極的にアピールしなきゃ!
と、ジュゼッペのペット(?)のネズミ君とまったく同じ気持ちをいだいてしまった。

そんなわけで、ジュゼッペの純粋さと不器用さにはなかなか感情移入できなかったのだけれど、脇を固めるメンバーのコメディ的な要素は、毎度のごとく、いい味を出していた。ファンキーな悪徳不動産屋とか、ジュゼッペを憂える女性新聞記者とか。
また、狂言回し的なネズミ役を演じていた金子貴俊が、ユーモラスで、かわいらしくて、ハマり役だったと思う。


これまでわたしが観てきたキャラメルボックスは、笑えて泣ける作品が多く、舞台初心者でも楽しませてくれる、「That's エンタテインメント」な劇団だと思う。昨年観た『ナツヤスミ語辞典』と『水平線の歩き方/ヒア・カムズ・ザ・サン』は両方とも大泣きだったから、今回も覚悟していたのだけれども、本作は意外なことに泣けなかった。

思うに、本作は「家族」というキーワードが少なかったからかなと。
よくよく考えてみれば、わたしが舞台や映画で泣けるポイントは「家族の喪失と再生」のようで。きっとキャラメルボックスは、そのテーマをいつも上手に昇華してくれるから泣けるんだな。
と、今回は泣けなかったけれども、そのぶん、深い気づきをもらえた舞台だった。
by chatelaine | 2012-02-25 23:58 | STAGE

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko
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