実家にて徒然と読むミステリ

年末年始に、実家で子どもを遊ばせながら読める軽いミステリ、ということでチョイス。
個人的に、東野圭吾の作品は当たり外れが大きい気がするのだけど、同じ版元の『白夜行』『幻夜』がよかったので、期待しつつ…。

分身 (集英社文庫)

東野 圭吾 / 集英社

今年1冊目

スコア:


先の2作品には及ばずとも、なかなか読み応えありの秀作だったと思う。物語はふたりの主人公、鞠子と双葉の目線で、1章ごとに交互に進んでいく。

鞠子の章 「なぜ(育ての)母親は一家心中を計ったのか?」
双葉の章 「なぜ(育ての)母親はひき逃げされたのか?」
という謎を追っていったら、自身の出生の秘密にたどりつき、ひとつの恐ろしい仮説が浮かび上がる・・・というストーリー。

創ってはならない、創られてはならなかったものの、悲劇。なんだか『フランケンシュタイン』に通ずるものがあった。
でも、生命倫理を主題にしているわりには、研究者(創ってしまった)側の葛藤があまり描かれていないのが、少し残念。逆に、巻き込まれた側である、育ての親たちの深い愛情に泣けた。(特に鞠子の母)

体外受精でようやく授かった最愛の子どもが、自分にも夫にもまったく似ていなかったら?
実は自分の卵子ではなく、夫がかつて愛した女の卵子でできた子どもだったら?
夫の愛した女とそっくりの子を、自分の子として愛せるだろうか?
愛せないにしても、殺したいほど憎めるだろうか?
実際に殺せるだろうか?
わたしなら?
・・・
と、想像しただけで泣けてきた。なんてつらい葛藤の日々を過ごしていたんだ、この鞠子母は。

また、「分身」である主人公のふたりが、いつどのようにして出会うのか、というのが見所のひとつ。
わたしは、結局ふたりは顔を合わせることのないまま物語が終わるのだろうと予想したのだけれど。(外れてた)

それにしても、東野圭吾はつくづく映像化に向いた作品を書くね。
というか、最初から映像化を想定して書いているのね、きっと。
本作も2月にWOWOWでドラマ化される。長澤まさみが一人二役を演じるそうだけど、わたしは鞠子母役に感情移入すること間違いない。
by chatelaine | 2012-01-13 22:48 | BOOK

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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