この冬、毎日のように、眠りにつく前に聴くCDがある。
徳永英明の『VOCALIST』シリーズ。1~3まで買い揃え、特に帰りの遅い、眠る前まで頭が冴えきっている日は、徳永さんの声を聴くと、頭もこころもふんわりとほぐれていく気がする。 もともとわたしはカヴァーソングに好意的ではなかったけれど、徳永さんは別。 とりわけ最初のアルバムに収録されている「会いたい」という曲は、うかつに聴くと、夜中でも好きな人に会いたくてしかたなくなってしまう。それくらい、殺伐とした一日の終わりに、人間らしい気もちを取り戻させてくれるアーティスト。 というような雑談を喫茶店で上司としていたところ、なぜこんなに『VOCALIST』シリーズは売れているのか、どこが好きだと思うのかと聞かれて、はたと考えた。 そもそも秋から冬にかけてはバラードが売れるんだろうけれども、そんなに突き詰めて、理屈で考えたことはなかった…。 そう問われて、わたしの徳永ヒストリーをたどっていくと、子どものころ、父の車の中でドライブのたびに、まだあのころはカセットテープで聴いていた「壊れかけのRedio」の、なぜだかわからない物悲しさに行き当たった。 そして徳永英明は父親のお気に入りのアーティストであったことも。 「遠ざかる祭りの空、帰れない人ごみに」 なんとなく望郷を想いおこさせるこの歌詞に、父親が重なり、増してくる寂寥感。 眠る前の無防備な状態で、子どものころに聴いたのと変わらない徳永さんの透明な声に記憶を揺さぶられ、想い出が重なる。そうして大切な人に会いたくなる。 そんなところが、人恋しい冬の夜に合っているのかもしれない。
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