三島由紀夫の読書遍歴

好きな俳優、アーティスト、作家。
彼らを想うときに、単純に彼らの作品が好きなのか、それとも彼ら自身が好きなのか、考えることがある。

たとえば、私の最愛のアクター、ジョニー・デップの場合。
彼の演じる役柄が好きだから彼の映画を観る、ということ以上に、私はジョニー自身の生き方や考え方が好きだったりする。だから、彼の私生活の方も、ミーハーレベルで気になるものである。

しかし、これまた私の好きなケヴィン・スペイシーやジャック・ニコルソンの場合、彼らの演技は好きだけれども、その実生活にまで興味は及ばない。あくまでも、俳優としての彼らを楽しむだけだ。


そういう区別が、読書の世界でも成り立って、作品だけにとどまらず、作家愛までの対象となるのは、私の場合、やっぱり三島なのである。

三島という作家がどのようにしてできあがっていったのか、あの美文はどういう読書歴によって培われたものなのか、という疑問に迫るのに、役立ちそうな一冊を見つけた。


三島由紀夫/鹿島茂・編『三島由紀夫のフランス文学講座』
ちくま文庫 読了


三島がフランス文学に傾倒していたことは知っていたけど、ここまでとは…。鹿島さん、編集ありがとう。あなたの著作も愛読しているけれど、そのなかでも本書は名編だわ!

三島をして、
「私は生来、小説の作中人物に惚れたことはないが、作者ラディゲその人には、少年時代の凡てを賭けて惚れたのであった」
とまで言わしめたラディゲから、ラファイエット夫人、ラシーヌ、ギリシアの古典作品への流れ。
そして、サド、フロベール、バルザック、プルースト、バタイユ…。すばらしく正統的(?)なフランス文学のガイドになる本だ。

また、仏文学には関係ないが、ワイルドや澁澤龍彦についての章もあって、それがなかなか三島の美学を表していて、愉しい。


ほかにも、三島に影響を与えた人物にコクトーがいるが、コクトーに関してはこの本では扱われておらず、別の一冊にまとまっているらしい。
読んでみたいな。でもその前に、どの書店で探しても見つからない、ラディゲの『ドルジェル伯の舞踏会』を見つけねば…。
by chatelaine | 2006-02-14 23:11 | BOOK

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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