『卍/ベルリン・アフェア』レビュー

今週は、リリアーナ・カヴァーニ週間ということで、『卍/ベルリン・アフェア』(85)をレンタルで観た。本作は、谷崎潤一郎の『卍(まんじ)』のドイツ版で、ナチ時代の設定になっている。

そうなると、この「卍」が、どうしてもハーケンクロイツにしか見えないのだけど…。カヴァーニ女史よ、まさか記号の一致だけで、映画化を決めたのではあるまいな?


ストーリーは、耽美な、むしろ変態らしさあふれる谷崎らしく、といっても彼の作品は『痴人の愛』と『春琴抄』しか読んでいないけれど、ある既婚の婦人が画学校で美しい少女と知り合い、その美に惹かれ、愛慾に溺れていくという…『禁色』に引きつづき、またまた同性愛のパターン。
うーん、別に、意図して選んでるわけじゃあないのよ(…と、一応ことわっておこう)

映画はドイツということで、ナチの党員の妻・ルイーズと、日本の外交官の娘・ミツコという設定に置きかえられているが、原作を読んだ部分までのところでは、ストーリーはほぼ同じのようだ。

この魔性の娘・ミツコを、高樹澪が演じていて、東洋の美ここにありという風貌なのだけど、作中一度も彼女は脱がない。この原作で脱がないミツコというのも、逆に斬新な演出なのかもしれないが…それでもじゅうぶん色香がただよっていたしね。

ただ、彼女の魔性っぷりは半端ではなく、ルイーズの夫まで巻き込んで、複雑な三角関係を支配していく。これは、『痴人の愛』のナオミより悪女度が高いこと間違いない。


が、原作の『卍』の大きな特徴として、全編関西弁というのがあって、それがまた色気と毒々しさを醸しているものだから、英語の映画ではかなりイメージが変わってしまう。

そこで、この物足りなさを埋めているのが、ナチ時代のドイツという、独特なムードであろう。綱紀粛正と頽廃とが混ざった時代の香り…。こういう雰囲気を出せるのは、さすがは『愛の嵐』のカヴァーニだと、妙に感心しきりであった。
by chatelaine | 2005-12-14 22:13 | CINEMA

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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