『ミルカ』レビュー

息子がキャンプに行っている間に、『ミルカ』というインド映画を観にいってきた。
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ミルカ・シンというインド代表の陸上選手の半生を描いた作品で、幼少期にインド・パキスタン分離独立で土地を追われ、親を虐殺されたという壮絶な過去を持つオリンピック選手の話。
そのわりに、ミルカ自身の明るい性格もあって、全体のトーンは重暗くなりすぎていない。

故郷ではダメンズ青年だったミルカが陸上の世界で出世して、苦労をかけたお姉さんにイヤリングをプレゼントするところと、辛い過去を乗り越えて、子ども時代の自分自身と伴走するラストシーンがドラマティックで、涙した。

虐殺を逃れた友人と再会するシーンで、辛すぎる過去を「時代が悪かったせいだ」と向き合えるまでに、どれほどの努力と涙を流したのだろう。やられた相手に復讐心を持たず、自分自身に打ち勝つことは、誰にでもできることではないと、昨今の民族紛争を見ていて思う。
また、上下で反転した世界を表すポスターのデザインも好み。

それにしても、ミルカ役のファルハーン・アクタルという俳優さんが、シク教徒のお団子風な髪型も含め、とてもキュート。メルボルンでつい浮かれてハメを外しちゃうところとか、初めての飛行機のシーンでとまどうところとか。笑顔が抜群に無邪気で、はまり役だったかと。
そして筋肉もすごい!トレーニングの仕方が根性論でえらくマッチョだったけど、あの時代のオリンピック選手はあれが普通だったんだろうか…。

インド映画らしく、歌とダンスを交えながら進むので、少し長い気もするけれど、とてもへヴィーな題材をここまで爽やかなラストにつなげたのはすばらしい脚本と構成だった。
ぜひ、この監督の別の作品も観てみたいな。

by chatelaine | 2015-02-04 23:58 | CINEMA

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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