シス・カンパニー『鼬(いたち)』レビュー

2014年の観劇納めに、世田谷パブリックシアターで上演中の舞台『鼬(いたち)』を観にいってきた。
昭和初期の東北の、ある没落旧家をめぐる骨肉の争いの人間模様を描いた作品。


過去に因縁がある義理の姉妹、白石加代子(おかじ)と鈴木京香(おとり)による、東北弁の悪口雑言バトルが強烈。
冒頭から登場するおかじの娘も、素行が悪くて不良娘という感じだが、鈴木京香演じるおとりがドスの利いた声で登場してからは、キャンキャン吼える小物にしか思えず、うまい対比だなあと。

おとりの企みを阻止すべく、おかじは息子を頼りにするのだが、肝心の息子は気のいい奴だが短絡的。結局、そこをおとりに付けこまれて利用されてしまう。
鼬(いたち)とは、古来から妖怪視され、様々な怪異を引き起こすものと信じられていたらしいが、さしずめ、陰謀姦計をめぐらせるおとりは妖婦といったところだろうか。

一方、落ちぶれた旧家の様子を気づかっているふりをしながら、金になるものはもらっておこうとする村の人々も浅ましい。こういう、ムラ的な監視社会のねちっこい窮屈さと、ムラを出て一匹狼として成功したおとりとの対比がまたうまい。

結局、ラストはおとりの思惑通りにことが運び、義姉であるおかじは絶命する。白石加代子は喋らなくとも、そのいでたちだけでまわりを圧倒する演技。後味は良くないが、役者の存在感が光る、濃密な家族劇であった。
by chatelaine | 2014-12-14 23:40 | STAGE

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by yukiko