5歳児連れホーチミン旅行(Ⅱ)映画で事前予習

ベトナムはわたしも初めて訪れる国なので、予習としてベトナム関連書籍と映画を見ておくことにした。

ちょっと羽を伸ばしに海外に行くだけなのに、行くからにはどうしてもその土地の歴史を知りたくなる。グルメや雑貨やエステも好きだけど、それだけでは満足できず、歴史や文化や価値観を体験したいという欲求がある。そのためには、付け焼き刃の知識でも、ないよりはまし。このあたりの旅の準備の仕方は、学生の頃から変わっていない。

しかし、どうにも題材がベトナム戦争ばかりに偏ってしまった。特に映画を観ていると、ベトナム戦争がいかにアメリカに大きな衝撃を与えたかがよくわかる。


◆『プラトーン』

プラトーン [Blu-ray]

トム・ベレンジャー,ウィレム・デフォー,チャーリー・シーン,ケビン・ディロン,フォレスト・ウィテカー/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

スコア:

アカデミー賞受賞作。ベトナム戦争モノで先陣を切って作られた作品らしい。
戦闘シーンそのものよりも、ベトナム戦争に従軍した部隊という設定の中での人間模様が秀逸に描かれている。過酷な状況でも人間性を保てるタイプと、敵の人権など無視して過激化するタイプ、その中間で葛藤するタイプの3種類が人間が描かれている。

戦鬼となってしまったバーンズ軍曹の憎悪は、敵のベトナム兵のみならず、自分の意見と対立する身内のアメリカ兵に向かう。米軍の良心として描かれていたエライアス軍曹が、バーンズの罠にはまって殺されるシーンなどは、いったいこれは何と何の戦争か?という疑問すら生じる。

本来、この二人の軍曹を統率すべき仕官が無能なことが悲劇のはじまり。劇中に流れる悲哀を帯びた曲が印象的だった。


◆『フルメタル・ジャケット』

フルメタル・ジャケット [DVD]

マシュー・モディーン,リー・アーメイ,ビンセント・ドノフリオ/ワーナー・ホーム・ビデオ

スコア:

前半はとにかく鬼教官の罵詈雑言(の日本語訳)が笑える。よくまあこんなに汚い言葉を思いつくもんだね。前半のクライマックス、通称「ほほえみデブ」を演じていた役者が、「シャイニング」のジャック・ニコルソン並みの怪演だった。

後半は、ジャングルでのゲリラ戦のイメージとは異なり、ベトコン側スナイパーとの市街戦がメインで緊迫感がある。「触っちゃダメ!」といわんばかりのブービートラップにあっさりとひっかかる米兵が、滑稽なような哀れなような…。

また本作では、前線の米軍基地としてダナンが出てきた。ダナンは、今ではアジア有数のリゾート地。まあ、サイパンもフィリピンもハワイも、そして沖縄も、かつては戦地だったことを考えると、複雑な心境になる。


◆『ワンス・アンド・フォーエバー』

ワンス アンド フォーエバー [Blu-ray]

メル・ギブソン,バリー・ペッパー,マデリーン・ストウ,サム・エリオット,グレッグ・キニア/東宝

スコア:

メル・ギブソンが好感度の高い中尉役で、あまりにも部下への責任感と正義感が強く描かれていて、どうにも偽善者に見えてしまった。「フルメタル・ジャケット」を観た後なだけにかなりギャップが。壊滅状態の戦場でもメル・ギブソンだけは無敵だし、アメリカナイズされたありがちなヒーローの印象が拭えなかった。

ただ、ベトナム側の視点からも戦闘の様子が描かれていて、そこは新鮮だった。
が、ベトナムが戦う理由は理解できるけど、映画を見れば見るほど、アメリカが戦う理由がわからない。あれほどの犠牲を出して得たかったのは何だったんだろう、と。
そう思わせるのが目的の映画なら、成功していると思う。

あと、本作は劇中に登場する戦場ジャーナリストが書いた原作をもとに作られてるわけだけど、前線に乗り込んで地獄絵図を見たジャーナリストと、戦闘終了後にやって来た有象無象のマスコミとの温度差がわかりやすく表されていた。

また、本作ではベトコンのトンネル内の様子も描かれていたので、クチトンネルに行くのが楽しみになった。戦争博物館も行きたいけれど、子どもは興味ないだろうし、行くとなればベトナム戦争の説明をしなきゃならないし、難易度高そうかな…。


◆『ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実』

ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実 [DVD]

バート・シュナイダー(プロデュース)/キングレコード

スコア:

アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞受賞作。
アメリカ側とベトナム側、両方の視点での映像が、もっとも対比が際立つように、絶妙なカットで編集されていて、とても見応えがあった。

結局、一番の被害を被るのは、貧しくともそこで生活する人々。ナパーム弾で燃焼した子どもを抱きかかえ逃げる親など、とりわけ衝撃的な映像も出てきて目を背けたくなるが、これが現実…。
一方で、アメリカの政治家や官僚の本音が出てくるわけだが、これがかなり腐っている。国民には戦地で起きている事実を隠してプロパガンダを行い、ベトナム人を人とも思わぬ発言。

またあるいは、戦地の現地慰安婦、客引きをする少年、戦争を機に一旗上げようとする資本家、ベトナム帰還兵や脱走兵の証言など、ベトナム戦争にかかわったあらゆる立場から多角的に構成された、とても意義深い作品だと思う。


他、ベトナム戦争関連では、「ディア・ハンター」「地獄の黙示録」「7月4日に生まれて」などが未見。
ベトナム戦争以外では、仏領インドシナ時代の「インドシナ」が観られずじまい。カトリーヌ・ドヌーヴが主演で、ホーチミンにあるコンチネンタル・ホテルが登場するらしい。いずれまた観たい。

by chatelaine | 2014-12-09 23:32 | 子連れ旅行

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko