まるで詩のような

夏休み前に少し読んでみて、渡英するまでに読み終わらず、かといって英国に持っていくのはいやで、いままで放置していたがゆえに以前読んだ部分の内容を忘れ、そういうわけで結局最初から読み返すはめになった小説。

コクトー『恐るべき子どもたち』岩波文庫 読了

このポエティックな作品、ようやく読み終えることができた。とても薄い本なのに、あらゆる箇所に詩的効果と暗喩がはりめぐらされていて、1ページ中に何度もひっかかりを覚えるので、なかなか思うように進まない。

けれども、その一筋縄ではいかないところがコクトーらしさで、そこが好きだったりする。小説家というよりかは、詩人のコクトー。
かの三島由紀夫も、本作の影響を大いに受けて、『午後の曳航』を書き上げている。

ともかく、不健全で屈折しまくりで傲慢きわまりない姉弟と、そんな彼らであるからこそ、彼らを愛してしまった(私からすると不幸な)友人たちの、悲劇の物語。

といっても、ラスト数ページの展開で、やっと本作が悲劇であることに気付いたぐらい、前半部では話は動かない。しかも、都市社会とは隔絶された、濃密な空気の部屋が舞台となっているので、すごく閉塞感を感じる。
満員電車の中で読んでいると、あやうく窒息してしまいそうだったわ…。


主人公の少年ポールが夢想の世界へと出入りする際に、ある種の時間を必要とするのと同じように、私がコクトーの詩的世界に没入するには、たいへんな集中力と時間が必要だった。

一度読むのをやめてしまえば、次にこの世界観に戻るには、また一から入り込む心の準備をしなければいけない。そうでないと、この子どもたちの住まう空間というものが、理解できないのだ。


あまりにも幼くて、矜持だけは高く、自分の優位を保とうとし、自分が傷つかないために相手を傷つける。まるで永遠の子どもであるかのような姉弟。

「エリザベートとポールは、互いに強い愛情を持ちながら、相手を傷つけ合っていた」

姉弟の関係性は、このひとことに集約されている。この幼さゆえに、姉弟は、お互いを滅ぼしあってしまったのだろうか。
複雑…。
by chatelaine | 2005-10-27 23:07 |

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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