『こども展 名画にみるこどもと画家との絆』レビュー

森アーツセンターギャラリーで開催中の『こども展 名画にみるこどもと画家との絆』の内覧会に行ってきた。入口には、アンリ・ルソーの作品を模したレゴブロックがどっかりと鎮座していて、すごいインパクト。
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今回は、学芸員さんの裏話満載の愉快なギャラリートークもあり、非売品のバインダーもいただけて、大満足の内容だった。しかし、どこの美術館でも、なんで学芸員さんってあんなに喋り上手なんだろう。専門分野を語る彼らはすごく生き生きして見える。
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本展では、西洋絵画の名だたる画家たちが自身の子どもたちを描いていて、そのまなざしの優しさに心打たれた。静物画じゃないセザンヌの絵なんて、初めて見た気がする、と言っては言い過ぎか。モデルの男の子に「リンゴのようにじっとしていなさい」と言ったというエピソードにはセザンヌらしくて苦笑いしたけれど。
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解説によると、18世紀まで、こどもは「小さな大人」として認識されており、こども独自の特徴があることは認知されていなかったらしい。ジャン=ジャック・ルソーが書いた教育論「エミール」によって議論の俎上にのぼるようになり、ようやく子どもを「発見」したという。
そういえば、ルネサンス期に描かれた子どもとか、顔が大人だったりするもんね。同じ頃、日本は江戸時代になるけれど、日本では子どもはどういう風に見られていたのかな?と気になった。


カリエールの描く、独特のぼやけた輪郭。
6人の子を亡くしたというルソーの描く、子どもの力強さ。
まるで家族のアルバムのように、子どもをたくさん描いたモーリス・ドニ。
感じるのはどれも、愛する子どもへの想い。
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当時は9歳ごろまで女の子として育てられるのが一般的な慣習だったため、男の子なのに、女の子の格好をしているルノワールの息子たち。特に左は完全に女の子に見えるけど、男です。
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そして驚愕だったのは、ピカソの子どもたちは、ピカソのデッサンを切り抜いて人形遊びをしていたという逸話。しっかりガラスケースに展示されていたけど…すごく高価なおもちゃでは?でも、ピカソもまた子どもからインスピレーションを得ていたというから、持ちつ持たれつということか。
人形のデッサンがかわいかったので、チケットホルダーを購入。
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これらの絵に込められた画家と子どもたちのストーリーは、普段は日の目を見ない部分だけに、とても興味深かった。子ども向けのジュニアガイドもあったので、子連れでも楽しめそう。
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「我々には子どもというものがまったくわかっていない。子どもについてもっている観念がどだい間違っているのだから、進めば進むほど、正道をそれてゆく。(・・・中略)
彼ら(=大人)は常に子どもの中に大人を求め、大人になる前に、子どもがまずどんなものであるかということは考えもしない」
ルソー「エミール」(平岡昇訳)より
by chatelaine | 2014-05-20 23:34 | ART

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


by yukiko