続・角川kindleセール

今月もまた角川のkindleセールがありましたとさ。もはや定価で買うのが馬鹿馬鹿しいかも。

ヤマシタトモコ『ひばりの朝』全2巻 祥伝社

ひばりの朝 1 (Feelコミックス)

ヤマシタ トモコ / 祥伝社

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twitterで「怪作」という評判を聞きつけて購入。主人公・ひばりのまわりの人々の視点で、それもひばりを見る卑しい感情を軸に、ストーリーは進んでいく。
中学生なのに「女くさい」発育ぶりで、男からは性的な目で見られ、女からは嫌悪されるひばり。父親からのいやらしい視線、母親からの揶揄、教師の無関心、クラスメイトの無邪気な残酷さに囲まれ、鬱屈した日々を送っている。ストーリーといえばその描写だけで、取り立てて劇的な展開があるわけではないのだが、この読後のモヤモヤ感たるや…。
面白いのは、ひばりとは真逆の、いわゆる「色気のない」大学生・富子が、同じ女性なのにまるで全く別の生き物のようにひばりを捉え、コンプレックスを刺激されること。対極的なふたりに、悩み多き性の深淵の一端を見た気がする。


西原理恵子『ぼくんち』全3巻 角川書店

ぼくんち 上 (角川文庫)

西原 理恵子 / KADOKAWA / 角川書店

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この方のマンガははじめてだけど、へたうま(?)な絵柄に反して、暴力や下ネタなど、なかなか壮絶な内容。短い話の中に、途方もない貧しさが凝縮されている。
「ぼくんち」を取り巻く環境は劣悪で、それでも、苦労している親や兄弟などを目の当たりにして、自分が強くなって大切な人を守りたいという純粋な想いが、痛々しいほど伝わってくる。逆転不可能な貧困の連鎖の中で生き、その中で光る主人公の笑顔が、まぶしくも哀しい。


貴志祐介『十三番目の人格(ペルソナ)-ISOLA』角川書店

十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)

貴志 祐介 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

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「黒い家」や「天使の囀り」などに比べればゾクゾク度は落ちるが、一気に読んでしまう面白さは変わらず。
多重人格の統合へのプロセスは興味深い。人格ごとに役割があり、痛いときや辛いときだけ出てくる(痛みを一手に引き受ける)人格なんてものがあるとは。現実世界から逃避して内へ逃げ込んでも、結局、人格内でパワーバランスが発生し、弱い者が痛みを受け止めなくてならないのね…ああ、この人格が不憫。
そして13番目のISOLAが発生した経緯が判明してからが、貴志ホラーの本領発揮。とにかくISOLAの執念が恐ろしい。
しかし、彼の作品に出てくるカップルは不幸になるねえ…。
by chatelaine | 2014-03-27 23:45 | BOOK

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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