旅のお供に貴志祐介

所用で東京~大阪を往復した際に、はじめて貴志祐介の作品を読み、セールで買いだめしてあったkindle本を一気読み。
それにしても、単身で乗る新幹線はなんて気楽なことよ。読書がはかどるといったら!


貴志祐介『青の炎』角川文庫 読了

青の炎 (角川文庫)

貴志 祐介 / 角川書店

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高校生の主人公が、家庭に起きた危機的現状を打破するために、やむなく殺人計画を練るが、完璧に見えた計画に綻びが生じ、警察に追い詰められていく様子に心臓がドキドキする。
主人公が愛用しているロードバイクの疾走感が、殺害時の焦燥感が重なり合い、とても印象的。また、作中に「罪と罰」や「山月記」を引用しながら、犯罪者の心理に迫っているところも心憎い。
大切な人たちを守るためにとったやむをえない行動が、最終的にはその人たちを傷つけるという最悪の結果になることに、やるせなさがのしかかってきた。
犯罪者に肩入れしているなどの理由で賛否を巻き起こした作品らしいけど、わたしはどうにも犯人側に共感してしまったなあ…。


貴志祐介『黒い家』角川文庫 読了

黒い家 (角川ホラー文庫)

貴志 祐介 / 角川書店

スコア:


保険金詐欺とサイコパスを扱った作品。これは…犯人がとことん怖い。実際、ホテルで寝る前に読んだのだけど、うなされてよく眠れなかった。
特に、物語後半、主人公と恋人に襲い掛かる恐怖といったらもう、サスペンスというより立派なホラー。「黒い家」の惨劇が暴かれて終わりかと思いきや、なんと最後には捨て身で主人公の会社にまで復讐しにくる執拗さ…!殺害方法も残虐だし、執念深いし、そのわりに一見すると普通のオバサンな感じがひたすら怖い。
ラストは、また次なる「それっぽい」人物の登場を予見させる終わり方。…生命保険会社ってなんてデンジャラス!


貴志祐介『クリムゾンの迷宮』角川文庫 読了

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

貴志 祐介 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

スコア:


「ライアーゲーム」っぽく、とても好みの作品。
冒頭から主人公は記憶を失っていて、見知らぬ土地で、なぜここにいるのかも思い出せず、不可解な状況から物語はスタートする。読者も状況がまったく飲み込めないまま主人公の行動について行く感じなので、ストーリーに没入しやすい。
リアルRPGなゼロサムゲームの様子は、分岐点の選択肢といい、食事などサバイバルの様子や持ち物の有効活用といい、よく練られている。参加者が食人鬼(グール)になっていく様子などはもう悲惨だし不憫だし。
結局、ゲームの参加者はお金持ちの慰み者になっている、という背景も格差社会を映していて、空恐ろしく、物悲しいラストだった。


貴志祐介『天使の囀り』角川文庫 読了

天使の囀り (角川ホラー文庫)

貴志 祐介 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

スコア:


怒涛のように4作目に突入。バイオホラーということで、これまでの3冊とはまた違う路線の作品。作者はいくつほどネタを持っているんだろう。
うごめく線虫を想像するとすごく気持ち悪いので、想像力を封印して、あえて淡々と読んだ。特にセミナーハウスのバスルームのシーンはえげつなく、ここまできたら警察に通報でしょ!などとツッコミを入れながら、なんとか正気を保ちつつ読み進めた。
それにしても、忌み嫌うほど畏怖していたものに魅了されながら死んで行く、ってどんな心境なんだろう。それが本当に恍惚なんだとしたら、この恐ろしい線虫が、終末医療には「使える」という救いを提示していることが、本作の唯一の光だと感じた。
by chatelaine | 2014-03-02 23:08 |

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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