『鍵泥棒のメソッド』レビュー

内田けんじ監督の最新作、『鍵泥棒のメソッド』をDVDで観た。

鍵泥棒のメソッド [Blu-ray]

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内田監督の作品は、デビュー作の『運命じゃない人』を観たときに、なんて面白い脚本だ、という印象が鮮烈に残っているのだけど、本作もやっぱり伏線が効いていて、単なる「記憶喪失による入れ替わりもの」でないところが面白い。

加えて、いまやドラマ「半沢直樹」でも共演している、堺雅人に香川照之という主演コンビの緩急自在な演技が笑わせてくれる。銭湯のロッカーの鍵が入れ替わったことで、人生が入れ替わるふたりに、ワケアリ婚活中の広末涼子が絡み、話が発展していく。

劇中で、堺雅人は冴えない役者の役を演じており、泣き笑いの表情が似合う、ちょっとだらしない役どころなのだけど、ひょんなことから殺し屋の役を演じる段になっては、表情ががらりと変わって凄みが出る。でもそれも一瞬、すぐに見破られて、またもとの情けない表情に…。

一方、殺し屋役の香川照之は、記憶を失っているときの控えめな態度と、記憶を取り戻してからの強面な殺し屋の態度とが180度変わって、そのギャップにぞくり。もともとアクの強い俳優さんだから、普段はキワモノばっかり演じている気がするけれど、抑えた演技が逆に新鮮だった。
また、銭湯ですっ転ぶシーンなどは、なぜここでスローモーションなのかと笑えたが、一貫して、メモ魔というか、几帳面で努力家な性格は変わっていないのが心憎い演出。

個人的には、実は殺し屋ではなく…というのが一番の驚きどころかな。すったもんだありつつも、結局誰も血を流していない、というのが鑑賞後の爽快感に繋がっているような気がした。
by chatelaine | 2013-08-13 23:08 | CINEMA

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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