『奇跡のクラーク・コレクション』レビュー/印象派、百花繚乱

三菱一号館美術館で開催中の、『奇跡のクラーク・コレクション -ルノワールとフランス絵画の傑作-』を観に行ってきた。雨に濡れた美術館の中庭は、新緑がきれい。
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このコレクションの収蔵されているクラーク美術館は、ルーヴルやMOMAなどとは違って、近接の空港から車で3時間と、一介の旅行者にはとても行きづらい場所にあるとのこと。印象派の貴重なコレクションが、遠方からまとまった形で日本にきているまたとないこの機会、会期ギリギリにでも観に行けてよかった。
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印象派というカテゴリは、美術にあまり興味がない人でも馴染みがある単語だと思うけれど、本展では、いわゆる教科書では見たことのないような、隠れた印象派の作品が集まっているように感じた。個人的には、「見たことのないルノワール」という感想をもつほどに。

ルノワールの作品は、いつも肉感的な女性が描かれていて、むっちりした感じに辟易することもあるのだけど、今回、「ヴェネツィア、総督宮」を筆頭とする風景画は、率直に美しいと思った。
また、腐りかけのリンゴが描かれた静物画は、明るいイメージのあるルノワールにしては珍しい作品で、彼になにか嫌なことでもあったのだろうかと想像力がかきたてられる。

この時点で、そういえば、ルノワールの風景画や静物画ははじめて観たかもしれない、と気がついた。不思議なことに、これらの風景画を観た後で、いつもの女性の人物画を観ると、それはとても新鮮に映った。なんだか、昔から近くにいる人の、意外な一面を見つけたときのような気分。

また、意外といえば、気になったのはロートレックの生い立ち。
「貴族の生まれながら、事故により脚が不自由になったことで、父親に疎まれ、母親の庇護を受けて育つ。パリで画家として名を成すが、アルコール依存症と梅毒により、36歳で死去。」

このあっさりとした説明を読むだけでも、さぞ屈折した少年期と、破滅的な人生を送ったことだろうと、とてつもなく興味を抱いてしまった。こんなデカダンだったとは知らなかったわ、ロートレック。評伝ものの映画とか見てみたい。

まあ、今回はロートレック作品は2点しかきていなかったけれど、それ以外にも、ピサロやモネやドガなど、よく知る画家のあまり知らない作品を観ることができて貴重だった。
なにより、三菱一号美術館の、小さく区切られた部屋の壁いっぱいに、やわらかい色調の作品がかかっている風景は、遠目に見ても美しく、春が目に映る光景だった。
by chatelaine | 2013-05-11 23:22 | ART

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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