『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』レビュー

国立新美術館で開催中の『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』を観に行ってきた。
いつものごとく、まずはポール・ボキューズで早めのランチを取って、館内の託児に息子を預け、夫とふたりで鑑賞。ここの託児は、3歳児ならば12時半から15時までで1000円と、良心的な値段で助かるので重宝している。
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そもそも、リヒテンシュタイン侯国という国を知らなかったわたし。位置的にはオーストリアとスイスの間にあり、歴史的にはハプスブルク家の系譜のよう。
それにしても、群雄割拠の諸侯ひしめく中、リヒテンシュタイン侯の芸術コレクションが神聖ローマ皇帝の目にとまったことをきっかけに、侯国として独立を果たせたのだから、芸は身を助くとはこのことか。


今回の展示のほとんどは、ウィーンにある「夏の離宮」に展示されているコレクションで、絵画以外の調度品や工芸品も多く展示されていた。やっぱりこういう展示は、宮殿の内装と併せて、雰囲気全体を楽しみたいと思うのだが、企画展ではなかなか難しい…。
しかし、それを再現させたのが、本展の目玉、「バロック・サロン」である。

宮殿の広間のような広い展示室に、アントニオ・ベルッチの天井画が4枚、きちんと天井にかかり、部屋の四隅には和洋折衷な大燭台が、四方の壁にはバロック様式のテーブルやソファ、鏡などが並んでいて、なんとも壮観である。
壁や床や天井など、そもそもの部屋の素材感は仕方がないとしても、宮殿の内部をここまで再現した展示方法はこれまで観たことがないような気がする。期待以上の展示方法だった。


この、バロックの曲線に満たされた空間を出ると、ルーベンスの作品群が迎えてくれる。同じバロック様式とはいえ、絵画だとなんだかすっきりして見えるから不思議だ。

本展でポスターなどに取り上げられている、ルーベンス作の「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」は、幼い女の子の肖像でありながら、「ようこそ、わが宮殿へ」というキャッチコピーのせいか、中世的な顔立ちがやけに高貴に見える。
そして、これとは対照的に、最後の部屋に展示されていた「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像」という作品の、人形を抱いてすやすやと眠る姿が愛らしいこと。親ならばもう、抱きしめたくなること必至である。
後者の方が、高貴といえば高貴な立場なのだけど。言葉の印象ってすごいなと。

また、「復讐の誓い」という作品も、女性2人が密談しているようなミステリアスな構図と、意味深なタイトルが心に刺さった。誰に復讐するつもりなんだろうとか、2人はどういう関係なんだろうとか、想像力を掻き立てられる作品である。


しかし、リヒテンシュタイン侯国を知らなかったわたしにとっては、世界にはまだまだ知られていない「○○家秘蔵のコレクション」というのがあるのだなあと、しみじみ感じる展覧会であった。
by chatelaine | 2012-10-21 23:24 | ART

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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