舞台『英国王のスピーチ』レビュー

世田谷パブリックシアターで開催された舞台、『英国王のスピーチ』を観に行ってきた。
映画の方は、観たいと思いながらも実は未見なのだが、舞台の方は主演が東山紀之ということで、昨年の蜷川演出のときの彼がとってもよかったので、行ってみることに。

この劇場は託児も付いているので、小さな子がいるからといって、どうしても観たい芝居をあきらめなくていいのがうれしい。息子的には、託児所の窓から見える世田谷線が楽しいらしく、自宅へは回り道になるけれども、帰りに乗ることを約束して、しばしお別れ。

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本作では、冒頭の、浴槽から上がるヒガシの全裸シーンが話題になっていたけれど、実際はさほど仰天するほど露出度でもなく、それよりも、王の衣装を着せられていく感がよかった。 吃音コンプレックスで、自分に自信のない英国王・ジョージ6世を演じるにあたって、「お仕着せの王」から幕開けするとは、さもありなん。

表現・芸術の世界において、吃音というコンプレックスといえばもちろん(?)、三島由紀夫の『金閣寺』が真っ先に思い出される。
最近、舞台化されたところでいうと、演出・宮本亜門×主演・森田剛の『金閣寺』だが、こちらは原作が原作だけに、内省的で暗さと崇高さが占める内容だったけれども、本作は同じ吃音といえども、なかなかコミカルな演出で笑いながら観ることができた。

コミカルさで一役買っていたのは、言語聴覚士・ローグを演じた近藤芳正。彼もまた、役者という夢に挫折したというコンプレックスを抱えた一人だが、治療時のヒガシとの掛け合いが愉快すぎる。
歌やダンス、時には卑猥な言葉(と言っても、「おっぱい!」や「ファック!」など小学生並みのもの)などを駆使して、スピーチを全うするラストは、笑い泣きしてしまうほどだった。

少し物足りなかったのは、ジョージ6世が吃音なのは生まれつきではなく、厳格に育てられたせいだ、とローグが指摘するところで、その育ちに焦点が当たっていなかったこと。どんな抑圧の積み重ねで、王は吃音になってしまったのか。ここは個人的にすごく気になる部分なのだが、劇中ではあまり言及されず、具体的なことは想像に任せるといった風だった。
このあたり、映画版では回想シーンなどで表現されているのかな。早く映画も観てみないとね。
by chatelaine | 2012-08-26 23:59 | STAGE

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