『ソーシャルメディア進化論』セミナー

先週、六本木アカデミーヒルズで開催された『ソーシャルメディア進化論』というセミナーを聴きに行ってきた。
パネリストは表題の本の著者・武田隆さんと、その本の帯に推薦文を寄せている夏野剛さん。アドリブ感満載の対談もあり、なかなかエキサイティングなセミナーだった。

第1部の武田さんパートは、ほとんどが、著書『ソーシャルメディア進化論』の内容を抜粋してのプレゼン。
著作では、インターネットの黎明期からソーシャル時代の現在までをとらえ、ソーシャルメディアを通じて、どうすれば企業と顧客が関係性が深まるか?どうすればそこに「心温まる関係」が根付き、さらにマネタイズするか?ということがテーマになっている。

これまで300の企業をコンサルした経験知と、緻密な数字を積み上げてのプレゼンは、まさに研究所のそれ。「レリバンシー(我が事化)」など、聞きなれない言葉もちらほら出てきたので、事前にある程度読んでいって正解だった。

ソーシャルメディア進化論

武田隆 / ダイヤモンド社

今年2冊目

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第2部の夏野さんのパートでは、特に原稿などの用意もなく、夏野さんの頭の中にあることを話している感じで、武田氏とは対照的。
ソーシャルメディアというよりは、過去15年のIT史をさかのぼり、少し俯瞰した内容。
そしてやはり日本企業のリーダー批判色が強かった印象が。

以下はメモ。
■1998年、JAL/ANAがインターネットによる航空券の発売を開始、電子証券取引の開始、楽天市場開始
⇒フロント営業・販売方法の激変、ビジネスモデルの変化
■同1998年、Googleがネット上での検索を開始
⇒個人の情報収集能力の向上
■現在は、Twitter/Facebook等、個人の情報発信が簡単にできる時代へ

こうしてみると98年って、すごい変革の年だったのね。
この変化をふまえて、夏野さんのリーダー論がはじまる。

◆この15年で消費者の行動パターン・ライフスタイルが劇的に変わり、ビジネスモデルも変わっているのに、企業の組織・体制は古いままなのが問題。
◆生物学的に言っても、経営を同種の人間(例えば創業以来同じ釜の飯を食っているメンバーなど)で固めるよりも、社外や若手などを含めた、多様性のある組織がサバイブする。
◆ターゲットユーザーとシンパシーのある人が決定権のあるリーダーに登用されるべき。
◆ITは信長の鉄砲と同じ。どう戦略に取り入れるか?が重要。このことを企業のリーダー(60歳付近)の世代に理解してほしい。


最後に二人の対談と質疑。しかしこのパートは、武田さんが質問して夏野さんが答えるという形式だったようだけれど、質問があいまいだったので、対談というより一問一答みたいになっていたのが残念。
その中でも印象に残ったキーワードがいくつかあったので列挙してみる。

■企業リサーチにおいて、ユーザーの深い発言を引き出すには、深い質問が必要。(武田)
■コミュニティに囲い込んだユーザーだけでなく、組織化しない声(Twitterなど)を拾っていく戦略も考えた方がいい。(夏野)
■ソーシャルメディアでは、「批判的なレスポンスがくるから気軽に発言できない」と思っているユーザーが多い。(武田) 
 ⇒コミュニティが活性するには、ニコ動など、ユーザーが「気軽に発言できる」雰囲気であることが重要。(夏野)


全体的に、夏野さんのプレゼンは大胆で例えが面白く、また質問に対しての切り返しが早いので、話に引き込まれる。なんだか炎のような印象。
対して、武田さんは、しっかりと根拠を張り巡らせて話す、浮ついた感じがしない、大地のような印象。

ちなみに、過去のアカデミーヒルズのラインナップを見ると、興味深いセミナーが多く、ぜひ今後もチェックしていきたいと思った。学びたい欲求というのは、いくつになっても尽きないもの…。

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「情報革命の行き着く先が、よもやこのような人間臭い世界になると誰が予想しただろうか?情報テクノロジーの最先端が、人と人の、心と心の関係に向かっていることにおもしろみを感じはしないか?」
(武田隆『ソーシャルメディア進化論』抜粋)
by chatelaine | 2012-01-24 23:16 | 日々のエンタメ

欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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