『恋愛小説家』レビュー

まだまだジャック・ニコルソンブームが続いていて、かつ今日はラブストーリーの気分だったので、AVルームで『恋愛小説家』を観ました。これ、とっても後味のいい作品ですねぇ…。


恋に臆病な、というか、あんたが恋なんてするの?とでも言いたくなるほど偏屈な人間を演じているジャック・ニコルソン。厭世家の役は、はじめて観たかもしれません。彼はよく奇人・変人を演ってますけど、それとて決して「人ギライ」ではないですから…。孤独な役は、珍しいなぁと思いました。顔芸(眉芸?)はあいかわらずですが。

その主人公メルビンは、レストランに使い捨てのナイフとフォークを持参するほどの潔癖症で、道路の汚れや継ぎ目すら踏めないという強迫観念症。さらに横柄な態度と毒舌の持ち主で、つまりはすっごくイヤなオヤジ。ゲイや黒人・ユダヤ人にものすごい罵詈雑言を浴びせてるので、はじめは設定時代が古いのかと思いましたよ(笑)

実際にこんな人が近所にいたらたまったものじゃないけど、ジャック・ニコルソンだとなぜか憎めないから不思議です。そして、彼が犬やウエイトレスとのやり取りを通じて、不器用ながらも心を開いていく様子は、観ているこちらも笑みがこぼれます。

それに、普段はものすごい毒舌なのに、さすが恋愛小説家だけあって、いざというときには、いやその気になりさえすれば、人を喜ばせる言葉が出てくるんですよね。ちゃんとこころは温かいのです。


気になる存在のウエイトレス、キャロルを怒らせてしまい、「最高の褒め言葉を言って!」とせまられるシーン。

「(強迫観念症の)薬を飲むのは大嫌いだった。繰り返すが、薬は大嫌いだった。でも君がうちに来た、あの夜から飲みはじめた」
「なぜ?」
「いい人間になりたくなった」

これって、彼一流の殺し文句ですよね~。「きみのためにやさしくなりたい」と同義ですよ!これを言われたキャロルの表情が、瞬時に泣き出しそうになって、ああ嬉しいんだろうなぁ、そりゃ嬉しいよねぇ、とうんうん頷きながら観てました。


極めつけ。

ラスト近くで、メルビンはキャロルの家に行こうと決意し、自分の部屋を出ようとすると…鍵がかかっていない。
毎日、帰宅するとすぐ、まるで自分のこころにがっちりと鍵をかけるように、何重にも鍵をかけるのが習慣だった彼。ところが、その日、メルビンは部屋の鍵をかけ忘れていたのです。無意識のうちに。

「鍵が開いている!」

男は驚きながらも笑顔でこう言って、女のところへ急ぐ。
思いを伝えるために。

つまり、自分のこころの鍵が開いた…ということでしょう。メルビンは、人との間に自ら作っていた扉を、開け放つことができたんですね。このシーンはうまい、ヤラレタ!という感じでした。


ちなみに、ジャック・ニコルソンは本作で、『タイタニック』のレオ君を抑えて3つ目のオスカーを手にしてます。相手役のキャロルを演じたヘレン・ハントも受賞。
当時、レオ君ファンだった私は不満でしたが、今となっては納得です(笑)
by chatelaine | 2005-06-28 23:25 | CINEMA

◆◆管理人:yukiko ◆◆欧州大好き、映画や舞台の偏向的レビューブログ。子連れになってリスタート。最近はもっぱら子連れ旅がメイン。


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